「モカ」と言えばコーヒー、コーヒーと言えば「モカ」と言われるほどモカ・コーヒーは世界中で多くのコーヒー通に支持されております。紅海に面したイエメンの小さな港町「モカ港」から世界中にコーヒーが伝播していったことがネーミングの由来です。つまり、コーヒーのルーツは「モカ」なのです。
1628年のある日、この港でオランダの商船が40袋のコーヒー豆を買い付けました。これがヨーロッパ人が買った最初のコーヒーでした。 しかし当時まだヨーロッパではコーヒーを飲む習慣がなかったため、この豆はペルシャ・インド方面に売られたようです。
ヨーロッパで最初にコーヒーが売り出されたのは1661年アムステルダムでのことです。もちろんこれもモカ港から積み出されたコーヒーでした。これをきっかけに、ヨーロッパ人は安いコーヒー豆を大量に確保するため、それぞれの植民地に「モカ」の豆を持って行き、コーヒーの栽培を始めました。現在南アメリカや東南アジアで栽培されているコーヒーの多くは、元はイエメンから運び出されたものなのです。つまりイエメンは世界のコーヒーの母国というわけです。
イエメンのコーヒーは急峻な山岳地(標高1,000m~3,000m)の斜面を利用した段々畑やワジと呼ばれる涸れ谷周辺で栽培されます。イエメンにはプランテーションのような大農園はありません。殆ど全て零細な農民により栽培されております。これは山岳地が誇り高き部族民の領地であり、彼らが先祖伝来の地を他人に売ったりしないためです。農民は自分の畑の一部でコーヒーを作り、残りの部分で主食のヒエ、キビ、そして野菜などを作って自給自足の生活を送っています。
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